２００４年７月２４日、光が丘図書館利用者の会では、開館１０周年記念として、講演会を開催しました。大澤正雄さんに「もっと知りたい図書館のこと」―公立図書館のかしこい利用法―という内容で、お話をしていただきました。

�T.図書館の役割

1.      図書館はなぜ必要か

(1)人間が生きていくために求めるものは

　�@よりよく生きたい�Aよい文化に触れたい�B学びたい

憲法１３条の発達権(学習権)、憲法２５条(生活権)の考え方。(金子仁著『国民の教育権』岩波新書1971,P-114、P-115)

　 (2)学校教育と異なった独自学習の機関

　　学校教育と異なった独自学習によって市民が自ら知識や情報を持ち自らを高め人間的に成長していくことを助けるのが公共図書館である。「民主社会はすべての人が自分で考え、自分で判断し、自分の責任で行動することが前提となって成り立っている社会である。一方すべての人に自由にその判断材料を提供し、読書という営みによって考える力を養う材料を提供するのが公共図書館である。この意味で公共図書館は民主主義社会を基礎から支えている機関であるといえる。」(石井敦、前川恒雄共著『図書館の発見』1973　日本放送出版協会刊)

(3)地方自治をささえる図書館

　図書館法第3条「土地の事情一般及び公衆の希望にそい、」(第10条)条例設置、(第14条)図書館協議会、(第17条)無料。

2.      生活と結びついた地域の文化と「教育力」の育成

「中央」の文化に押しつけられている

「……その国の文化度は何できめるかというと、私としては、その国の人々が、

�@自分の意見を持っている、�A生活を楽しんでいる、ということに尽きるように思われる。もちろん男女とも、である。そして右の二点は、互いに関連しており、無関係ではないのである……」(田辺聖子「レマルクとシャクナゲ」『乗り換えの多い旅』暮らしの手帖社、1992.P.64)

�U.これからの図書館活動

　1.ふれあいの図書館(朝霞市立図書館方針)

�@人が出会える図書館、�Aお互いが学びあえる図書館、�B生活情報が得られる図書館

�C自ら学習できる図書館

　2.図書館での集会文化活動

　3.自治体の発展と図書館(まちの発展に役立つ)

　　「人が生存するっていうのは、働くことができる、住むことができる。発達っていうのは、人間が生きていくために学習することもそうですし、楽しみながら伸びていくこととかいろいろあると思うのです。そう視点でいなかを見てみたときに、学習保障という役割が地域にある。そういう中で図書館は大きな役割をもっています」(澤田正春著「山あいの図書館と地域のくらしー置戸図書館と共に歩んでー」日本図書館協会刊)

　4.地域図書館

　　地域に新しい文化と郷土意識を育て、自分たちの「文化」を守り発展させるための役割を担う。

�V.図書館活動を支える専門職制度

1.      練馬区の図書館の変遷

１９６２年８月に練馬図書館が開館、「文庫」に支えられて発展。

2.      「司書」をくるくる変えて図書館は良くなるか

3.      図書館は「行政機関」ではなく「教育機関」

図書館は学校と同じ「教育機関」、教育機関の役割と行政機関の役割。行政が教育機関に介入すると戦前の教育制度にもどる。

4.      よいサービスを期待するためには「司書」の定着は不可欠

図書館の仕事は1年2年で勤まる仕事ではない。自由民の意向を知る、資料を知る。

�W.　図書館をだめにする「カウンター委託」

　1.      現在23区で起きている「カウンター委託」の動向。

　2.      民間業者いいなりの図書館運営

公共サービスの市場化、「官」を「民」にという。地方自治法244条の改悪(指定管理者制度)。

　3.      低賃金による請負契約の実態

民間業者による賃金搾取、短期雇用、有期雇用による劣悪な労働条件、請負業務の恒常的違法。

　4.      行政の責任放棄

図書館は住民の「思想・内心の自由」を扱う仕事、これらは公的機関が守ること。

住民の「思想・信条」の自由を放棄する。

(食事について)

オカーサンハヤスメ　　　　　　　　マゴワヤサシイ

　　　オムレツ　　　　　　　　　　　　　豆

　　　カレーライス　　　　　　　　　　　ゴマ

　　　サンドイッチ　　　　　　　　　　　ワカメ

　　　ハンバーグ　　　　　　　　　　　　野菜

　　　ヤキソバ　　　　　　　　　　　　　魚

　　　スパゲティ　　　　　　　　　　　　しいたけ

　　　目玉焼き　　　　　　　　　　　　　いも類

　当日、大澤さんよりいただいたレジメをもとに、まとめさせていただきました。食事のことについてもユーモアたっぷりの楽しい話が続いて、講演を聞きながら、地域の身近な図書館には、こうあって欲しいという願いを持ち、それの実現のために図書館とのつながりを大切にしていきたいと切実に感じました。

　(大澤さんのこと)

戸板女子短期大学教授。1935年東京生まれ。1959年(S34)練馬区に採用され、1962年練馬区立練馬図書館、1974年石神井図書館、1980年大泉図書館、1983年土支田児童館等に勤務。その後1986年から1995年まで朝霞市立図書館館長、1995年から1999年まで鶴ヶ島図書館館長。日本図書館協会常務理事
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　文責　兵頭恵子