特色ある稲荷山図書館参観記 　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　長谷川　純三 　稲荷山図書館は区内で最も特色ある館です。光が丘図書館利用者の会が参観すると聴き、同行させてもらいました。稲荷山図書館は昆虫専門書（学術書）、啓蒙書（一般書）、学術（学会機関）誌、全国各地の昆虫同好会誌（誌名多種）など、学術研究書、外国（原）書などの収集においては昆虫専門図書館の様相です。文献を手にし、改めて館の質の高さに驚きました。館長さんの館創設時の話からは昆虫資料を収集する経緯の詳しい説明は聴けませんでした。 　館独自（主催）の活動では、小学生の虫好き「昆虫博士」を対象に近隣（区外からも）児童を対象に夏休み「昆虫講座」（３日間）を数年継続実施していると言う。常連の「昆虫講座」参加者（虫博士）は、当日講師の補助者（助手）になり講師と協力して、未来の「虫博士」誕生も遠くないと。「昆虫講座」の（組織）態勢も整えつつあるとのことであります。 　図書館の地域活動は夏休みだけでなく、近隣の幼稚園、保育園、学校へ職員の「読み聞かせ」の出張や「図書の団体貸し出し」などの活動も実施されているとのことです。図書館職員の積極的な取り組みに比べ、学校の図書館の消極的利用が指摘されました。図書館と学校の協力体制をどう確立するか、区立図書館と学校図書館に共通する課題でもあります。 　稲荷山図書館（昆虫資料館）積極的利用は利用者との密着が「カギ」と考えます。例えば地域住民の「虫の声を聴く会」を創設、「スズムシ」「マツムシ」などの飼育と虫の声を鑑賞し、恒常的な図書館利用、また「昆虫講座」と平行し、「アゲハチョウ」「カイコ」などの飼育日記、観察日記の発表と展示。昆虫飼育の植物（カンキツ類、桑など）を校庭の一角に植栽し、栽培管理は図書資料を活用します。さらに地域（農家）の協力、指導などで「カブトムシ」などの飼育（養殖）も。また将来的には練馬（稲荷山）の里に蛍が飛び交う夢を大きく膨らませたい。石神井図書館脇の井草通りと交差する石神井川に「蛍橋」があります。かつて石神井川、白子川にホタルが飛び交う豊かな自然が練馬（稲荷山）にもありました。蛍の棲む自然環境の復活は決して空想ではありません。ただ、ホタルの飼育には<蛍の幼虫の餌の確保（養殖技術）>が問題です。専門図書館の資料を十分活用し問題点を克服します。 　図書館参観記がこのままだと<図書館希望記>になりかねない。稲荷山図書館が常時読者の側に立った特色ある事例を二、三記し、参観の責を果たさせてもらいます。 　狭いスペースでの書架の配列や書架の側面の分類表示板（文字挿入）の工夫。また各社の「出版社新刊目録」「分野別の出版総目録」などは利用者の眼の届く箇所に排架してあります。他の図書館では閉架にある資料を館内に排架するなど、常に利用者の目線による排列、運営が眼に止まりました。職員の皆さん有意義な参観ありがとうございました。 編集室注：　４月２日（土）計６名で参観しました。図書館見学後清水山で咲き始めたカタクリを鑑賞しました。見ごろは一週間後ではないかとのことでした。

　　　　　　　　　　　　　
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