☆　ソウル最新児童図書事情

　　　　　　　　利用者の会　関日奈子　　　　　　　　　　　

　　８月１９日出発２４日帰国、韓国のソウル市へ行ってきました。西京大学（韓国で最初に日語日文学部を設置した大学）の日語科学生が木下順二作「夕鶴」を上演することになり、指導する友人の日語科講師の応援に夫が駆けつけるのを、あと追いしたわけです。

　私は上演に関しては何の役にもたたず、ほっておかれたのですが、夫の友人は在日三世、日本語が母語という人なので、私のくどきせがむのにまけて、以下の所に連れていってくれました。

　１．子ども図書館


東京には、国立国際子ども図書館がありますが、ソウルの子ども図書館（Children Public Library）は子ども専門の貸出図書館です。光が丘図書館の児童コーナーくらいの広さが三階建てになっています。夏休みなので子どもたちでいっぱいでした。絵本のコーナーに日本の絵本のハングル訳があって私はもっともっと見たかったのに、時間がない帰らねばならぬといわれてがっかり。

　２．子どもの絵本専門店


　

　しゃれたお店です。ギャラリーも兼ねていて、ボローニャに出品した作品や、その他のイラストが展示されていました。三冊かいました。写真の本は少女と白い犬の物語。　主題歌のＣＤがついていて、この歌はかつての民主化運動の中で愛唱されたそうです。
（ほか２冊は今友人に翻訳を依頼しています。）

　カウンターでコーヒーをご馳走になったら、はや帰らねばならない時間となりました。

　３．韓日児童文学研究会

　会の事務所はお隣りが理髪店という住宅地のような大通りからひっこんだ民家です。事務局長のLee Jae Bok 李在馥さんから話をききました。この方は殆ど日本語会話はなめらかにいきませんので通訳してもらったわけですが、読んでみてくださいとすすめてくれたのは「子どもたちの朝鮮戦争」「モンシル姉さん」など。後藤竜二作「１２才の伝説」を翻訳の準備中とのこと。日韓の交流はこれからきっと盛んになるに違いありません。私はもっともっと知りたいと思いました。私たちの側にも日韓児童文学研究のチームを作りたいものです。

　４．大型書店

ソウルで一番大きい書店へ行きました。大きなビルの一階がぜんぶ書店です。こっちから見ると向こうがかすんでいました。その児童書売場は広いこと！絵本から書籍、参考書、コミックなどいっぱいあります。３０分いたら、くたびれて逃げ出しました。

　ソウルは私にとって、親戚の家へ行ったような感じでした。いっぱい「いとこ」がいるのですが、言葉が通じない、文字が読めない歯がゆさ。そして、自分が韓国の歴史を知らないこと、

日朝古代史を知らないことにハッとしました。

　帰ってから、すぐ図書館へ行き、「図説朝鮮と日本の歴史―光と影　前近代編」と近代編（光が丘図書館所蔵）を読みました。いま私は、一衣帯水の国の歴史への興味、ひいては日本との関係史に深く関心を持つようになりました。そして、私が関心を深めることを保障してくれる図書館があることを、あらためてありがたいと思うのです。

　韓国で翻訳出版されている日本の子どもの本（私が現在知るかぎりでは次のとおりです）：

・おつきさまこんばんは                        林　明子作

・きゅっきゅっきゅっ　　        　　　　林　明子作

・おててがでたよ                                  林　明子作　　　　

・あさえとちいさいおとうと　　　　　　林　明子作

・はじめてのおつかい                　　　　　　林　明子作

・こんとあき                                　　　林　明子作

・ぐりとぐら　                            やまわきゆりこえ

                                          　　　なかがわりえこ文

・いやだいやだ                            　　せなけいこ作

・ねずみくんのチョッキ　　　　　　　　上野紀子文

 ・ つとむくんのかばみがき　　　　まつたにみよこ文                                                                 かなざわゆうこうえ

・りんごがドスーン      　　　　　　　多田ヒロシ作

・ぐるんばのようちえん　　　　　　　西内ミナミ文
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　堀内誠一え

・とべばった                  　　　　　　 田島征三作

・スーホの白い馬                        　　赤羽未吉描

・からすたろう                            　　やしまたろう作