光が丘図書館利用者の会　関日奈子

　江東区の図書館はひっそりとしていた。利用者がいないのではない。
図書館が存在として、ひっそりしているのだ。練馬の図書館は時間帯によっては
静かである。私なぞは端末があいていると、にやりとする。だが、たいがいは
賑やかである。そのにぎわいは図書館を利用している人たちが、そこで生きて
動いているという明るさだ。一人一人が自分自身の気持ちで本を選び、考えている
姿なのだ。私はいつも想う。図書館には自由があると。不心得な利用者もいるだろうし、
子どもが騒ぐのを放っている親もいるだろう、だが図書館に来る人々は図書館と自分
とのつながりを肯定し、あてにしているのである。

　それは図書館が区の施設で、職員が責任を持ってサービスをしてくれるからだ。
文句があれば、遠慮なく言えるし、職員が公平にサービスをしてくれるという信頼を
持てるからである。館長がカウンターにいるとうれしくなる。

　一方江東区の図書館の場合はどうだろう。利用者が図書館員とじかにふれあう
窓口にその図書館の運営・サービスに責任を持つ図書館員がいないのだ。会社が
区役所と契約をした、業務内容をマニアル通りに行う、社員がいるのだ。この部分
に於いては公共サービスではあるが、請負った会社の商業行為でもある。有機体
である図書館があたかも血管をしばられて、血が通わなくなって、
なんだか貧血状態になっているように見受けられる。

　新行革プランは、公的施設の例外なき、委託、民営化を検討するという
ことだ。私は見学して図書館は委託はなじまないと思った。
利用者にとって委託はサービス低下である。