☆　蔵書点検とは　　　　

　　　　　　　　　　　 光が丘図書館長

光が丘図書館では、9月30日〜10月9日までの10日間特別館内整理期間で休館しました。10日間も何しているの？と疑問に思う方もあるかもしれません。この期間に行っているのが「蔵書点検」です。蔵書点検とは年に一度、本の所在を明らかにするための点検作業です。

　昔、図書館では、「曝書」（バクショ）という作業がありました。「曝書」とは、紙魚（シミ）等の害を防ぐために、書物を虫干しすることで、湿気を含みやすい和紙などから成る和装本や漢籍は、夏の強い日光に本をひらいて数時間さらし乾燥させ同時に殺虫していたそうです。そして洋装本の場合は、日陰で干して通風していたそうです。書物が大変貴重だった昔は、虫干しの時に目録と照らし合わせながら、紛失などがないことを確認していました。

　最近の図書館では、空調設備が整えられたことや、虫食いの原因になるヤマトシミが好む材料で本が作られることがすくなくなったことから、虫干しの必要はなくなってきました。天候を気にしながら図書館のまわりや広場を使って本を並べ「虫干し」「通風」をしている光景は今は無くなりましたが、この名残で蔵書点検のことを「バクショ」と言ったりもしています。

　光が丘図書館では現在約29万点の資料があります。毎日たくさんの資料が借り出され、返却されています。利用の多い土・日曜日などは一日に6000点もの資料が借り出され、返却されてきます。その管理にコンピューターを使っていますが、書棚に並べるのは手作業です。時には間違った所に資料を並べてしまうこともあり、中には行方が分からなくなってしまう資料もあります。「あるはずなのに・・・見つからない」という資料や破損の著しい資料、果ては紛失になっている資料、そんな資料を点検するのが「蔵書点検」です。

　作業は資料に貼ってあるバーコードラベルを機械で読み取るところから始まります。分担して1点1点読み込んでいきます。こうした作業を終えると集めたデータをコンピュータのデータと照合し、行方不明の資料の一覧表を作ります。この一覧表を基に、行方不明資料の館内捜索を行います。一度行方が分からなくなると、29万点の資料の中から1点の資料を探し出すのには大変苦労します。それだけではなく、もしその資料を必要としている利用者の方がいても、提供できなくなってしまいます。ですので間違って配架された資料がないか、いつもより念入りに書架整頓したり番号順に並べる作業もします。

（これを「丁寧配架」「ツラゾロエ」と言います）書架の底板を外してのぞき込んで見たり、あらゆる可能性を考えて捜索します。どうしても見つからない資料は、不明資料としてコンピュータに登録します。

　また、年々増加する資料を想定して書庫内の配架計画を考え、書庫内図書の移動などもこの期間に行います。さらに、毎月の館内整理日ではできないような、施設や設備の点検や修繕などもこの期間に行っています。特別館内整理期間はより良い図書館サービスを行うために設けられています。